カードローンの過払い金とは?銀行カードローンでも過払いになるのか?


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過払金計算画像今から60年以上も前の昭和29年に施行された利息制限法は、お金の貸し借りをする際の金利として、元本が10万円未満は20%、10万円以上100万円未満では18%、100万円以上の場合は15%を上限とすると規定しています。ただし、この法律には罰則規定はありません

金利について罰則を規定しているのは、出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(通称:出資法)です。この法律は平成22年に改正されるまでは、年29.2%を金利の上限としており、この数字を超えた貸付を刑事罰の対象としていました。(出資法は段階的に金利が引下げをしており、平成22年前は年29.2%でしたが、その前は40.004%、それよりも昔はさらに高い利率となっていました。)

改正前の出資法の29.2%という金利は、利息制限法の上限を超えています。つまり、この金利での貸付は法律に違反している取引ということになるのですが、出資法の範囲内にとどまっているために罰則の対象にはならないのです。

この様に、適法(ホワイト)ではないが犯罪(ブラック)には該当しないということで、グレーゾーン金利と呼ばれています。

消費者金融が利息制限法ではなく出資法で貸付をしていた、みなし弁済とは?

男性指さしイラストこのグレーゾーン金利を最も活用していたのが、消費者金融の個人向けカードローンです。利息制限法を守ることは極めて稀で、29.2%での貸付が圧倒的過半数を占めていました。消費者金融会社も銀行から資金を借りて貸付資金にしているので、29.2%の金利で融資をしなければ、なかなか利益が上がらないからです。

なぜ消費者金融会社は利息制限法ではなく、出資法で貸付をしていたのか?これは消費者金融を規制する法律である貸金業法に、貸付をする際に利息制限法を超えていても、一定の条件を備えて取引した場合は、有効な支払いとみなすと規定したことが関係しています。この一定の条件を備えた取引のことは、「みなし弁済」と言います。

簡単に言えば、利息制限法を上回っている金利でも、債務者が任意で支払いしたものに関しては出資法の範囲内であれば認めると言うことです。

みなし弁済はその当時、貸金業規制法の43条にあった法律条項なのですが、みなし弁済を主張するには返済の都度、必ず所定条項を記載した領収証を本人へ渡し、受け取りの署名を貰う必要がありました。

しかし、返済はATMや銀行振込で行うことが多く、すべての人の返済に関して署名入りの領収証を貰うことは非常に困難です。自宅に領収証を郵送して返送してもらっている消費者金融会社もありましたが、借入を内緒にしている人が多いので、自宅に領収証兼計算書を郵送することは、利用者からのクレームに繋がってしまいます。

このことから、後に過払い返還訴訟で争点となる、みなし弁済はほとんどの消費者金融会社で認められなくなってしまったのです。

最高裁判決によりみなし弁済は認められず過払い返還を認める判決が出る

裁判所画像消費者金融の利用者は高い金利で利息を支払わなくてはならないために、返済できなくなる人が増加することになります。自己破産等の債務整理を行う人も増加の一途をたどり、社会問題になっていきました。

そのために、法廷でも争われることになり、みなし弁済がどういった時に成立するのかや、グレーゾーン金利はどのような場合に無効になるのかが問われることになりました。

この問題が決着したのは、平成18年の1月です。最高裁判所により、みなし弁済は原則として成立しないという判決が言い渡されたのです。これにより、グレーゾーン金利での取引は無効であり、利息制限法に引き直して過払い金が発生する場合は、金融業者は返還の義務を負うことになったのです。

例えば、消費者金融から29.2%の金利で50万円の借入がある場合、毎月約12,000円の利息が発生しますが、利息制限法の上限金利は18%なので、本来支払うべき利息は約7500円です。この差額の約4500円は払い過ぎていたということになり、過払い金として業者に請求することが出来ます。

この金額は、利用期間が長くなるほど大きな数字となり、場合によっては既に元本を完済しているというケースも少なくはありません。

完済しているにも関わらず返済するというのはおかしいので、この金額については業者からとり返す(返還を受ける)ことが出来ます。これは民法上の言葉で、不当利得返還請求と言います。

そして、過払い金返還請求(不当利得返還請求権)は法律と判例で認められている正当な権利の行使であることから、債務整理の様に信用情報機関に事故情報として登録されることはおかしいという理由で、途中から過払い返還請求に関しては信用情報の事故情報(異動情報)に登録されなくなりました。(最初は登録されていましたが、弁護士・司法書士の動きによって過去に登録したのも全て事故情報を削除となりました。)

銀行カードローンでも過払になる場合はあるのか?

疑問の男性イラスト過払いが発生するのは、利息制限法と出資法の差額の金利(グレーゾーン金利)で借りていた人だけです。平成22年6月に貸金業法が改正され、出資法と利息制限法の金利は同じになったことでグレーゾーン金利は無くなりました。

そのため、過払い金が発生する人は、平成22年6月以前より主に消費者金融から借入した人となります。出資法の金利が利息制限法と同じになることはそれより前に決まっていたことなので、厳密に言えば平成22年6月の数ヶ月前はすでに大手消費者金融では金利の引下げを行っていました。

なので、過払い金が発生する対象となる人は、少なくとも平成21年度に借入した人となります。グレーゾーン金利で借入していて完済した人は必ず過払い金が発生するのですが、利用期間が短ければそれほど多くの過払い金が発生するわけではありません。

弁護士・司法書士に過払い返還を依頼しても報酬分を考えると、利用期間が短かった人は正直手間暇を考慮するとそこまでのメリットは無いでしょう。

タイトルの銀行カードローンでも過払い金は発生するのか?の答えは、ここまで書けば分かっていると思いますが、銀行カードローンはグレーゾーン金利での貸付をしていませんので、過払い金が発生することはありません

過払い金が多くなる人はどんな人なのか?

過払い金が発生する人は、100万円未満の借入で金利18%を超えている契約をしていた人。100万円以上の借入で金利15%を超える契約をしていた人です。

特に返還金額が高額になるのは、100万円以上を金利25%以上で5年以上借りていたような人です。もし300万円を金利28%で消費者金融から10年借りて完済していた人ならば、過払い金は100万円以上になっているでしょう。

ちなみに、過払い金返還請求(不当利得返還請求)の時効は10年となっていますので、完済してから10年以上経過している人は基本的に時効で過払い返還ができません。

しかし、この時効に関しても法律ではいつからが時効の起点になるかによって、10年の計算も変わってくるので、時効だからと諦めずに専門家の弁護士・司法書士に相談してみることをおすすめいたします。

今は弁護士・司法書士も無料相談をしているところが多いので、契約書の控えなどがあれば持って行って相談することがベストと言えます。